「姿勢が悪い」と言われて、自分では気をつけているつもりでも、なかなか直らない——そんな悩みを持つ方は少なくありません。
実は、その原因は“骨盤の歪み”にある可能性が高いのです。
猫背、反り腰、ストレートネック、巻き肩など、一見背中や肩の問題のように思える姿勢の乱れも、骨盤の前傾・後傾・左右の傾きなどが根本原因となっていることが多いのです。
本記事では、骨盤のタイプ別に姿勢のチェック方法と、それぞれに合った改善法をご紹介します。初心者でも分かりやすいように、図解や例を交えながら解説していきます。
骨盤は、背骨と脚をつなぐ重要な部位であり、上半身と下半身を支える「土台」のような役割を担っています。
この土台が傾いたり、捻じれたりすると、建物と同じように「上にあるもの」が不安定になります。つまり、骨盤が歪むと、背骨、肩、首などにも影響が及び、結果的に姿勢の乱れにつながるのです。


- 前傾(反り腰タイプ)
- 後傾(猫背タイプ)
- 左右の高さが違う(脚長差、傾き)
- 捻じれ(骨盤が片方に回旋)
鏡の前に立って、以下のポイントを確認してみてください。
- 横から見たときに腰が強く反っている
- お腹がぽっこり出やすい
- 太ももの前側が張りやすい
- 腰に痛みが出やすい
- 背中が丸まって猫背気味
- お尻が垂れ気味
- 足が疲れやすい
- 首や肩がこる
- 立ったときに片方の肩が下がっている
- 骨盤の位置が左右で違う
- スカートが回りやすい
- 靴底の減り方が左右で違う
- 骨盤の一部が前に出ているように見える
- 片足重心になりがち
- 背骨のねじれ感がある
- 歩き方にクセがある

1)前傾(反り腰タイプ)
姿勢の特徴: 背中のS字カーブが強くなり、腰が反って見える。太ももの前側が緊張しやすく、腰痛の原因に。
改善ポイント:
- 腸腰筋や大腿四頭筋のストレッチ
- 骨盤を後傾させる腹筋トレーニング
- 姿勢を整える座り方(骨盤を立てる)
おすすめエクササイズ:
- キャットアンドカウ(ヨガ)
- ドローイン(お腹をへこませる呼吸法)
- 骨盤後傾スクワット
🧘♀️キャットアンドカウのやり方(初心者向け)

🔹準備(四つ這いの姿勢になる)
- ヨガマットや柔らかい床にひざまずきます。
- 手は肩の真下、ひざは腰の真下に置き、四つ這いの姿勢をとります。
- 指をしっかり開いて手のひらで床を押しましょう。
- 背中はまっすぐ、頭は自然に前を向きます。
🐄 カウポーズ(Cow Pose/吸う)
- 息を吸いながら、お腹を床に近づけて背中を反らせます。
- 胸を開いて、肩甲骨を背中の方に引き寄せます。
- 顔は正面または少し上を見上げます。
- 腰が反りすぎないよう注意して、骨盤から背骨を動かす意識を持ちましょう。
🐈 キャットポーズ(Cat Pose/吐く)
- 息を吐きながら、背中を丸めていきます。
- おへそを背骨の方へ引き込み、お腹を内側に。
- 頭は下に向けて、あごを軽く胸に近づけます。
- 骨盤を後ろに丸めて、背骨を一つずつ丸めるように意識します。
🔁 繰り返し方
- 呼吸に合わせて、**キャットポーズ(吐く)→カウポーズ(吸う)**をゆっくり繰り返します。
- 5〜10回ほど行うのが目安です。
- 動きのスピードは呼吸の長さに合わせて。焦らずゆっくりがポイントです。
✅ポイントと注意点
- 呼吸を止めないこと。常に呼吸と動作を連動させましょう。
- 腰を無理に反らさず、背骨全体を滑らかに動かす意識で。
- 肩や首に力が入りすぎないように注意。
- 手首に負担がある人は、ひじを軽く曲げてもOK。
🧘♀️ドローインのやり方【初心者向けステップ】
ドローインとは、お腹をへこませたまま呼吸することで、インナーマッスル(特に腹横筋)を鍛える呼吸トレーニングです。
お腹まわりの筋肉を意識的に使うことで、姿勢の改善・ぽっこりお腹の引き締め・腰痛予防にも効果が期待できます。
▶ ステップ1:基本姿勢をとる
まずは以下のどれかの姿勢で行いましょう(初心者は仰向けがやりやすいです)。
- 仰向けに寝る(膝を立てると楽)
- 椅子に座る(背筋を伸ばす)
- 立って行う(足は肩幅に開く)
▶ ステップ2:自然な呼吸でリラックス
無理に吸ったり吐いたりせず、まずは自然な呼吸を2〜3回繰り返して、身体をリラックスさせましょう。
▶ ステップ3:息を吐きながらお腹をへこませる
- 鼻から軽く息を吸い、お腹をふくらませます。
- 口から細く長く息を吐きながら、お腹をへこませていきます。
- 「おへそを背骨に近づける」ようなイメージでへこませてください。
💡 ポイント:腰や背中に力を入れず、お腹の奥の筋肉(腹横筋)を意識。
▶ ステップ4:お腹をへこませたまま、呼吸をキープ
- お腹をへこませたまま、浅くて静かな呼吸を3〜5回ほど繰り返します。
- 苦しくない範囲で、10〜30秒キープが目安です。
▶ ステップ5:ゆっくり戻す
- 息を吸いながら、お腹の力をゆるめて、元の状態に戻します。
🔸1回の所要時間と回数の目安
- 所要時間:1回あたり1分程度
- 回数:1日3〜5回程度が目安
- 継続すれば、1〜2週間で「お腹まわりが締まってきた」と感じる人も
🔸ドローインの注意点
- 腰や肩に力が入ってしまうと効果が薄れるので、リラックスが大切。
- お腹をへこませるのは、会話ができるくらいの自然な力加減でOK。強くへこませすぎると呼吸
- 食後すぐは避ける。
- 妊娠中や体調不良時は無理に行わないでください。
🧘♀️ 骨盤後傾スクワットのやり方

骨盤が後ろに傾いている(後傾)タイプの方にとって、通常のスクワットは腰に負担がかかることもあります。
「骨盤後傾スクワット」は、骨盤の傾きを意識しながら正しいフォームを身につけ、下半身の筋肉をバランスよく鍛える方法です。
▶ ステップ1:姿勢を整える
- 足幅は肩幅に開き、つま先はやや外向き(30度くらい)
- かかと重心を意識して立つ
- 骨盤が後傾している人は、軽く腰を反らせるイメージで骨盤を立てる
- 胸を軽く張り、背すじを伸ばす
▶ ステップ2: 手の位置を決める
- 胸の前で腕を組む or 前にまっすぐ伸ばす(バランスが取りやすくなる)
▶ ステップ3: ゆっくり腰を落とす(しゃがむ)
- 息を吸いながら、お尻を後ろに引くようにしてしゃがむ
- 膝がつま先よりも前に出すぎないように
- 背中が丸まらないよう、骨盤を立てたままキープ
- 太ももが床と平行になるくらいまで下げる(無理のない範囲でOK)
▶ ステップ4:ゆっくり戻る
- 息を吐きながら、かかとで床を押すようにして元の姿勢に戻る
- 骨盤の角度がぶれないように注意
🔁 回数・セット数の目安
- 10回 × 2〜3セット(週2〜3回を目安)
- 無理のない範囲でOK、継続が大事!
💡 よくあるミスと修正ポイント
| よくあるミス | 修正ポイント |
|---|---|
| 背中が丸まる | 胸を張って、目線を前へ |
| 膝が前に出すぎる | お尻をしっかり後ろに引く |
| 腰が反りすぎる | 軽く腹筋を引き締めて中立を意識 |
2)後傾(猫背タイプ)
姿勢の特徴: 背中が丸まり、肩が前に出てしまう。お尻の筋肉が使われにくくなり、体の代謝が落ちやすい。
改善ポイント:
- お尻の筋肉(大臀筋)や背中の筋肉を鍛える
- 骨盤を立てて座る習慣づけ
- 肩甲骨周囲の可動性アップ
おすすめエクササイズ:
- ヒップリフト
- チェアプルオーバー(椅子を使った背中トレーニング)
- チェストオープンストレッチ

🧘♀️ ヒップリフトのやり方

ヒップリフトは、お尻(大臀筋)と太もも裏(ハムストリング)を鍛える簡単な筋トレです。骨盤の安定や腰痛予防、美尻づくりにも効果があります。
▶ ステップ1:仰向けに寝る
- マットや布団の上で仰向けになります。
- 膝を立てて、足は肩幅に開く。
- 手は体の横に置き、手のひらは下向き。
▶ ステップ2: お尻を持ち上げる
- かかとで床を押しながら、お尻をゆっくり持ち上げる。
- 膝〜肩までが一直線になるように意識。
- 腰を反りすぎないように注意(お腹に軽く力を入れると◎)
▶ ステップ3:1〜2秒キープ
- お尻を締めるようにして、1〜2秒キープします。
- 呼吸は止めない。
▶ ステップ4:ゆっくりおろす
- 腰→お尻の順に、ゆっくりと床に戻す。
- お尻を完全に床につけず、軽く浮かせて繰り返すとより効果的。
🔁 回数の目安
- 初心者:10回 × 2セット
- 慣れてきたら:15〜20回 × 3セット
📝 ワンポイントアドバイス
- 腰が反る人は、お腹を軽くへこませながら行うと安全。
- 足を遠くに置くと太もも裏、近づけるとお尻に効きやすい。
- かかとだけ床につけて行うと負荷UP。
🧘♀️チェアプルオーバーのやり方
背中・二の腕・体幹に効果的な自宅トレーニング!
✅ 用意するもの
- 背もたれのある安定した椅子
- 水の入ったペットボトル(500ml〜1L)または軽めのダンベル
📍スタートポジション
- 椅子に浅く腰かけ、背筋を伸ばす。
- 両手でペットボトルを持ち、頭の上に持ち上げる。
- 肘は軽く曲げた状態をキープ。
▶️ 動作
- 息を吸いながら、ゆっくりとペットボトルを頭の後ろに下ろす。
※腕が耳の横を通るように意識。背中の筋肉が伸びているのを感じる。 - 息を吐きながら、腕を元の位置(頭の上)に戻す。
- この動作を10〜15回 × 2〜3セット。
🎯 ポイント
- 背中の筋肉(広背筋)を意識して動かす。
- 腰を反らないようにお腹に軽く力を入れる。
- 肘を大きく曲げすぎず、なめらかに動かす。
⚠️ 注意点
- 重さは無理をせず、最初は軽めでOK。
- 首や肩に力を入れすぎないように注意。
- 腰痛がある人は無理せず、椅子の背もたれを使ってもOK。
🧘♀️チェストオープンストレッチのやり方(立位バージョン)
チェストオープンストレッチ(Chest Open Stretch)とは、肩や胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)をゆるめて、猫背や肩こりを改善するストレッチです。姿勢改善や深い呼吸にも効果的で、デスクワークやスマホの使用で前傾になりがちな方にもおすすめです。
▶ ステップ1:姿勢を整える
- 足を肩幅に開いて立つ
- 背筋を伸ばし、肩の力を抜く
▶ ステップ2:両手を後ろで組む
- 腰の後ろで両手を組む(無理ならタオルを持ってもOK)
- 手のひらは内側でも外側でもOK。楽な方向で
▶ ステップ3:胸を開く
- 息を吸いながら、腕を後ろに引き、胸を前に突き出す
- 肩甲骨を寄せるイメージで
▶ ステップ4: そのまま深呼吸
- 胸がしっかり開いた状態で、深く呼吸を3~5回繰り返す
- 顎は少し引いて首を長く保つ
▶ ステップ5:ゆっくり元に戻す
- 息を吐きながらゆっくり腕を戻す
- 肩をリラックス
📝ポイントと注意点:
- 腰を反らせすぎないこと:胸を開くときに、腰を反らせすぎると腰を痛める原因に。お腹に力を入れて姿勢を保つ。
- 無理に腕を上げない:肩に痛みが出る場合は、無理に腕を後ろに引かず、タオルなどで調整。
- 呼吸は止めない:深くゆっくり呼吸することで、筋肉がゆるみやすくなります。
3)左右の高さが違う(脚長差、傾き)
姿勢の特徴: 体全体が左右に傾いて見える。筋肉の使い方にも偏りが生じ、肩こりや腰痛、股関節痛の原因に。
改善ポイント:
- 左右差を整えるストレッチ
- 姿勢保持筋のバランストレーニング
- 正しい重心の位置を意識
おすすめエクササイズ:
- サイドランジ
- バランスボールを使った体幹トレーニング
- ストレッチポールで骨盤リセット
🦵サイドランジのやり方(初心者向け)
お尻・内もも・太ももを効率よく引き締める下半身トレーニング。骨盤の安定や姿勢改善にも◎。
▶ ステップ1:スタート姿勢
- 足を肩幅より広めに開いて立つ
- 背すじをまっすぐ伸ばす
- 手は腰に添えるか、胸の前で軽く組む
📝ポイント:背中が丸まらないように意識!
▶ ステップ2:片側にゆっくり体重移動
- 右足をゆっくり横に大きく踏み出す
- 右膝をゆっくり曲げて、お尻を後ろに引くように沈める
- 左足はまっすぐ伸ばしたまま
📝ポイント:膝がつま先より前に出ないように注意!
▶ ステップ3:元の位置に戻る
- 右足で床を押して、ゆっくりスタート位置に戻る
- 左右交互に繰り返す(10回ずつが目安)
✅注意ポイント
- 常に背すじを伸ばすこと
- 膝はつま先と同じ方向を向ける
- バランスが取りにくい場合は椅子や壁をサポートに使ってもOK
🔁 回数の目安
初心者:左右10回ずつ×1セットから始めてOK
慣れてきたら:2~3セットに増やしても◎
4)捻じれ(骨盤が片方に回旋)
姿勢の特徴: 片側の骨盤が前に出ているように見え、体幹のねじれや肩の高さの左右差が目立つ。
改善ポイント:
- 骨盤周囲の筋肉を左右バランスよく鍛える
- 片側重心を避ける生活習慣の見直し
- 骨盤の回旋を防ぐトレーニング
おすすめエクササイズ:
- ツイストランジ
- ツイストボードを使った骨盤回旋エクササイズ
- 骨盤矯正ストレッチ
🧍♀️ ツイストランジのやり方(初心者向け)
① まっすぐ立つ
足を腰幅に開き、背筋を伸ばして姿勢を整えます。手は胸の前で合掌または腕を前に伸ばしておくと◎。
② 右足を前に踏み出す
ランジの姿勢になるように、右足を大きく前に出します。
このとき、膝はつま先より前に出ないように。
③ 体を右にひねる(ツイスト)
右足を出したまま、上体を右(前足側)にゆっくりひねります。
ひねったら、元の正面に戻します。
④ 元の位置に戻る
右足を後ろに引いて、①の姿勢に戻ります。
⑤ 反対側も同様に行う
次は左足を出して、左へツイスト。交互に繰り返します。
🔰 初心者へのアドバイス
- 膝を痛めないために、膝がつま先より前に出ないよう注意。
- ひねるときは、腰からではなく「胸から」ひねるように。
- バランスが不安定なときは、椅子や壁のそばで行いましょう。
⏱ 目安回数
左右交互に 10回 × 2セット
※慣れてきたらセット数を増やしてOK!
🥏ツイストボードを使った骨盤回旋エクササイズ
〜ウエスト引き締め&骨盤まわりの柔軟性UP〜
✅効果
- ウエストの引き締め
- 骨盤の可動域改善
- 腰痛予防
- 姿勢改善
- 体幹強化
🧍♀️やり方(1回5〜10分、朝やスキマ時間におすすめ)
① 準備
ツイストボードを床に置き、足を肩幅に開いて乗る。
※ボードの中心に足裏の重心が来るように立ちます。
② 姿勢を整える
背筋を伸ばし、軽くお腹を引き締めて姿勢をキープ。
手は腰に当てるか、胸の前で組んでもOK。
③ 左右にゆっくりツイスト
腰をひねるように、上半身は正面を向いたまま、
下半身だけ左右にねじります。
👉左右に1往復=1回とカウント。
④ 呼吸は止めないで
吸って → 吐きながらひねる動きを繰り返します。
⑤ 30〜50回を目安に
最初は無理せず、10〜20回から始めてもOK!
🔰ポイント(初心者向け注意点)
- ひねりすぎない! → 慣れるまでは小さな動きで十分
- 腰が反らないように、腹筋に軽く力を入れる
- 膝は伸ばしきらず、少しゆるめると安定しやすい
- グラつく場合は、椅子の背もたれや壁に手を添えても◎
❌NG例
- 勢いよく回しすぎる → 腰や膝を痛める原因に
- 猫背や反り腰のままやらない → 効果が半減
まとめ
1日や2日で骨盤の歪みが改善することはありません。正しいストレッチやトレーニングを、少しずつでも日常に取り入れ、無理のない形で継続していくことが最も大切です。
また、普段の座り方、歩き方、荷物の持ち方なども、姿勢や骨盤の歪みに大きく影響します。まずは「骨盤を立てて座る」意識を持つことから始めてみてください。
猫背や反り腰など、姿勢の崩れは見た目の問題だけでなく、肩こりや腰痛、疲れやすさといった不調の原因にもなります。そしてその根本には、骨盤の歪みが関係していることが多いのです。
この記事で紹介したタイプ別のチェック方法と改善法を参考に、ご自身の姿勢や骨盤の状態を見直してみましょう。
まずは意識することから。毎日の習慣を少しずつ変えていくことで、姿勢も体調も確実に変わっていきます。
ぜひ、あなた自身の健康と美しさのために、今日から骨盤ケアを始めてみてください。





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