骨盤底筋は健康と美容のカギを握る筋肉
骨盤底筋(こつばんていきん)という言葉を聞いたことはありますか?
近年、テレビや雑誌、SNSでも「尿もれ予防」「産後ケア」「ぽっこりお腹解消」といったテーマで取り上げられる機会が増えています。
骨盤底筋は女性だけでなく、男性にとっても非常に大切な筋肉であり、全身の健康や姿勢、代謝に直結する部位です。
しかし、その重要性に反して「正しい力の入れ方がわからない」「トレーニングしているつもりが実はお尻や太ももに力が入っているだけだった」という人は少なくありません。
この記事では、骨盤底筋の働きや鍛え方ついて解説します。
骨盤底筋を正しく鍛える方法|力の入れ方・セルフケア完全ガイド

骨盤底筋の役割とは?

骨盤底筋は、骨盤の底にハンモックのように広がる複数の筋肉群の総称です。
膀胱・子宮・直腸といった臓器を下から支える役割を持ち、日常生活のさまざまな動作に関わっています。
具体的な働きは以下の通りです。
- 内臓を正しい位置に支える
骨盤底筋が弱ると、臓器が下がり「子宮脱」「膀胱瘤」といった不調を引き起こすことがあります。 - 尿や便をコントロールする
骨盤底筋は排尿・排便のコントロールに直結しています。特に加齢や出産によって筋力が低下すると、咳やくしゃみで尿が漏れる「腹圧性尿失禁」につながります。 - 姿勢を安定させる
腹横筋や多裂筋と連動して体幹を安定させ、腰痛予防や姿勢改善に欠かせません。 - 呼吸と連動して代謝を高める
横隔膜と協調して働くため、深い呼吸が可能になり、自律神経や血流の改善にもつながります。
骨盤底筋が弱るとどうなる?
骨盤底筋は普段意識しにくいため、知らない間に弱っているケースも多いです。
特に出産後や更年期以降は注意が必要です。
骨盤底筋が弱まると起こりやすい症状

- 尿もれ・便もれ
- 下腹部のぽっこり
- 姿勢が崩れて猫背や反り腰に
- 腰痛や股関節痛の悪化
- 冷えやむくみ
- セルライトがつきやすくなる
これらは「年齢のせい」と思われがちですが、骨盤底筋を正しく鍛えることで改善できるケースが多くあります。
自分の骨盤底筋は使えている?セルフチェック方法
まずは、骨盤底筋がどの程度働いているのか確認してみましょう。
チェック①:尿意を一瞬止められるか
排尿中に一度だけ「キュッ」と止めてみてください。完全には止めなくても、一瞬でも弱まればOK。
ただし頻繁に行うと膀胱に負担がかかるため、チェック目的のみにしましょう。
チェック②:姿勢で確認
椅子に座り、背筋を伸ばした状態でお尻の下の坐骨(ざこつ)を意識します。
その間の筋肉を「キュッ」と引き上げる感覚があるかどうか。
太ももやお尻に力が入ってしまう場合は正しく使えていません。
チェック③:咳・くしゃみテスト
咳やくしゃみをしたときに尿が漏れる人は骨盤底筋のサポート力が低下している可能性が高いです。
骨盤底筋を正しく使う力の入れ方
骨盤底筋を鍛えるうえで最も重要なのは「正しい力の入れ方」を知ることです。
多くの人が間違えるのは、お尻や腹筋を過剰に使ってしまうことです。
ステップ①:呼吸を整える
仰向けに寝て膝を立て、深く息を吐きます。
吐くときに「おへそを背中に近づけるように」腹部を引き締めると、自然に骨盤底筋も働きやすくなります。
ステップ②:肛門・膣・尿道を同時に締める
下から「キュッ」と引き上げる感覚を意識しましょう。
息を止めずに呼吸を続けながら行うのがポイントです。
ステップ③:5秒キープ → 10秒リラックス
骨盤底筋は持久力の筋肉でもあるため、瞬間的に締めるだけでなく、一定時間キープすることが大切です。
骨盤底筋トレーニング(初心者向けエクササイズ)
ドローイン

- 仰向けに寝て膝を立てる
- 息を吐きながらお腹をへこませ、骨盤底筋を引き上げる
- 5秒キープ
椅子に座ってキューッ

- 椅子に深く腰かけ、背筋を伸ばす
- 息を吐きながら肛門と膣を締める
- 10回繰り返す
ブリッジ+骨盤底筋
- 仰向けで膝を立て、腰をゆっくり持ち上げる
- 骨盤底筋を締めながら5秒キープ
- 息を吐きながらゆっくり戻す
キャット&カウ応用
- 四つん這いになり、背中を丸めたり反らしたり
- その動作と同時に骨盤底筋を意識的に締める
キャット&カウのやり方はこちら👇
スクワット応用

- 足を腰幅に開いてスクワット
- 座るときに骨盤底筋をリラックス、立ち上がるときに引き上げる
日常生活でできる骨盤底筋ケア
骨盤底筋を強化するには、特別な運動だけでなく日常生活の習慣も大切です。
- 姿勢を正す:猫背は骨盤底筋の働きを弱めます。椅子に座るときは坐骨を意識。
- 歩き方を改善:かかとから着地し、太ももやお尻をしっかり使って歩く。
- 呼吸を深くする:腹式呼吸を意識して横隔膜と連動させる。
- 水分をしっかり摂る:尿もれが気になって水分を控える人がいますが逆効果。膀胱や筋肉が健康に働くためには水分補給が必要です。
- 睡眠を確保する:筋肉の回復は睡眠中に行われます。
よくある間違い
- お尻の筋肉ばかり締めてしまう
- 息を止めてお腹に力を入れてしまう
- 長時間やりすぎて逆に疲労させる
正しく行えば短時間でも効果的です。
骨盤底筋トレーニングがもたらすメリット
- 尿もれ・便もれ予防
- 姿勢改善・腰痛予防
- 下腹部の引き締め
- 出産後の回復サポート
- 冷え・むくみの改善
- 性機能の向上
まとめ:骨盤底筋は一生の健康を支える基盤

骨盤底筋は見えない筋肉だからこそ、意識的にケアする必要があります。
正しい呼吸と姿勢、そして簡単なトレーニングを続けることで、尿もれ予防から美容・ダイエット効果まで多くのメリットが得られます。
今日からできる実践ポイント
- 骨盤底筋を「引き上げる感覚」を覚える
- 毎日3分からでOK、コツコツ継続
- 姿勢・呼吸・生活習慣を見直す
- 無理せず楽しみながら習慣化
骨盤底筋を正しく鍛えることは、年齢を重ねても快適に過ごすための最高の投資です。ぜひ今日から実践してみてください。




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