40代後半から50代前半にかけて、多くの女性が経験する「更年期」。
ホットフラッシュやイライラ、不眠といった自律神経の乱れに加え、便秘や腰痛、下腹部のぽっこり、尿もれなど、下半身に関する悩みを抱える人も少なくありません。
実は、これらの不調には「骨盤」が深く関わっています。
骨盤は体の土台であり、内臓や子宮を支え、姿勢や血流にも影響する重要な部位。
女性ホルモンの変化とともに骨盤がゆるみやすくなることで、様々な不調が出やすくなるのです。
この記事では、
- 更年期特有の不調と骨盤のつながり
- 女性ホルモンと骨盤の関係
- 医学的エビデンスに基づいた骨盤ケアの効果
- 今日から無理なくできる骨盤ケア方法
をわかりやすく解説します。
更年期と骨盤ケアの深い関係|女性ホルモンと不調を軽くするセルフケア法

更年期に多い悩みとは?

更年期に入ると、卵巣の機能低下に伴い女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌が急激に減少します。
このホルモンバランスの変化が全身に影響を及ぼし、以下のような症状が現れやすくなります。
- ホットフラッシュ(急な発汗やのぼせ)
- イライラや気分の落ち込み(自律神経の乱れ)
- 不眠(睡眠リズムの乱れ)
- 関節痛や腰痛(筋力低下・骨の脆弱化)
- 便秘や下腹ぽっこり(内臓の下垂、腸の動きの低下)
- 尿もれ(骨盤底筋の弱まり)
特に下半身の悩みは「骨盤のゆるみや筋力低下」と深く関係しています。

女性ホルモンと骨盤の関係
エストロゲンの役割
女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、次のような重要な働きがあります。
- 骨密度を保ち、骨粗しょう症を防ぐ
- 筋肉や靭帯を柔軟に保つ
- 粘膜を潤わせ、膀胱や腟の健康を守る
- 自律神経のバランスを整える
更年期と骨盤への影響
更年期でエストロゲンが減少すると、骨盤まわりの靭帯や筋肉が弱くなり、次のような変化が起こります。
- 骨盤がゆるみ、姿勢が崩れる
- 骨盤底筋が衰え、尿もれや臓器脱のリスクが高まる
- 内臓を支える力が弱まり、便秘やぽっこりお腹が出やすい
つまり、更年期の不調は「女性ホルモンの低下」+「骨盤のゆるみ」が重なって現れるのです。
骨盤のゆがみ・筋力低下が更年期不調に与える影響

骨盤がゆがんだり筋力が落ちたりすると、全身にさまざまな不調をもたらします。
- 姿勢の悪化 → 猫背や反り腰になり、腰痛・肩こり・頭痛を引き起こす
- 内臓下垂 → 腸が圧迫されて便秘やガス溜まり、下腹部のぽっこり感に
- 血流の悪化 → 冷え性やむくみを悪化させる
- 骨盤底筋の弱まり → 咳やくしゃみで尿がもれる、臓器下垂のリスク
特に更年期の女性は筋力低下が進みやすいため、骨盤まわりのケアは欠かせません。
医学的エビデンスでみる「骨盤ケアと更年期」
骨盤ケアは医学的にも注目されています。
- 骨盤底筋トレーニングは尿失禁改善に有効
→ 世界保健機関(WHO)や日本泌尿器科学会でも推奨されています。 - 骨盤運動が腰痛・便秘改善に有効
→ 臨床研究で、骨盤エクササイズにより腸の動きや腰痛が改善する報告あり。 - 呼吸法やストレッチで自律神経が安定
→ 深い呼吸は横隔膜と骨盤底筋を連動させ、副交感神経を優位にする効果。
このように、骨盤ケアは更年期の代表的な悩みである「尿もれ・腰痛・便秘・自律神経の乱れ」に幅広く効果が期待できるのです。
今日からできる!無理なく続けられる骨盤ケア

更年期世代におすすめのケアを紹介します。
骨盤底筋トレーニング
- 仰向けで膝を立て、お尻の穴・腟を「キュッ」と締めて5秒キープ
- 1日10回×3セットを目安に
呼吸法+骨盤リセットストレッチ
- 大きく息を吸い、お腹と骨盤底をふくらませる
- 息を吐きながら骨盤底筋を締める
- 骨盤と横隔膜の連動を意識
筋力強化エクササイズ
- ヒップリフト(お尻を持ち上げてキープ)
- スクワット(正しいフォームで少しずつ)
ヒップリフト

ステップ1:準備姿勢
- 床に仰向けに寝ます。
- 膝を90度くらいに曲げ、足裏をしっかり床につけます。
- 両手は体の横に置き、手のひらは下向きに。
👉 足の幅は「こぶし1つ分」くらい開けると安定します。
ステップ2:お尻を持ち上げる
- 息を吐きながら、お尻をゆっくりと持ち上げます。
- 肩〜膝が一直線になるところでストップ。
- お腹をへこませ、骨盤底筋を「キュッ」と意識して締める。
👉 腰ではなく「お尻と太ももの裏」で支えるイメージが大切。
ステップ3:キープ
- そのまま 5〜10秒キープ。
- 呼吸は止めず、自然に続けましょう。
ステップ4:ゆっくり下ろす
- 息を吸いながら、お尻を床に「そっと」戻します。
- 5〜10回を1セット。
- 余裕があれば2〜3セット行いましょう。
ポイント・注意点
- 腰に痛みがある場合は無理をしない。
- 反り腰にならないように注意。
- 動作はゆっくり行うと効果が高まります。
👉 テレビを見ながらでもできる「ながら運動」としてもおすすめ。
スクワット
基本フォームのポイント
- 立ち姿勢:足は肩幅に開き、つま先はやや外向きに。
- 背筋を伸ばす:胸を張り、背中は丸めない。
- しゃがむ動作:椅子に腰かけるように、お尻を後ろへ引く。
- ひざの位置:ひざがつま先より前に出ないように。
- 目線:やや前方を見て、バランスを保つ。
- 回数目安:最初は10回×1セットから。慣れたら2〜3セット。
姿勢改善
- 椅子に座るときは骨盤を立てる
- 歩くときは骨盤を意識して「お腹を引き上げる」イメージ
食生活の工夫
- 大豆イソフラボン(豆腐・納豆・豆乳)でホルモンバランスをサポート
- カルシウム(小魚・乳製品)で骨を丈夫に
- タンパク質(肉・魚・卵)で筋肉維持
ちょっとしたアイテムの力を借りて、さらにラクに続けたい方へ
- 骨盤に直接効かせたい方には「ペルビス 骨盤職人」がおすすめ。装着するだけで骨盤が整います。
- 骨盤底筋を効率的に鍛えたい方は「ケゲルトナー」でより効果的なトレーニングが可能。
- 床でのポーズが多い方は、「厚めのヨガマット」がクッション役となり、安全快適に運動できます。
更年期の骨盤ケアを続けるコツ
- 短時間でも毎日続ける(3分でもOK)
- 生活に組み込む(歯磨き中に骨盤底筋を締める)
- アプリで記録することでモチベーション維持
- グッズを活用(骨盤ベルト・クッション)
骨盤ケア+医療・専門家のサポート
骨盤ケアだけで改善しない場合は、専門家を頼ることも大切です。
- 強い不調は婦人科や更年期外来へ
- 尿もれや臓器脱の症状は泌尿器科や婦人科で相談
- 鍼灸や整体などの代替療法も、血流改善や筋肉の緊張緩和に有効
まとめ

更年期は女性ホルモンの低下によって、体や心にさまざまな不調が現れる時期です。
その背景には「骨盤のゆるみ・筋力低下」が関係しており、便秘・腰痛・尿もれ・姿勢の乱れといった下半身の悩みに直結します。
骨盤ケアは、これらの不調を和らげる有効なセルフケア法。
無理のない範囲で毎日の習慣に取り入れることで、更年期を快適に過ごすサポートになります。
さらに、食生活の工夫や医療・専門家のサポートを組み合わせれば、心身ともに安定した日々を送りやすくなるでしょう。
「更年期の不調は骨盤から整える」。この視点を持つことが、健やかな50代・60代への第一歩です。





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