「骨盤が開いてると太る!」
「骨盤が開いていると下半身の代謝が落ちる」
ってよく耳にしますよね?
では骨盤が開いているとはどういうことなのでしょうか?
今回は「骨盤が開いて太るのは本当なのか?」について解説しました。
【骨盤が開いて太る!】の真相を鍼灸師が解説!
結論から言うと、解剖学的に「骨盤が開くということはほぼありません。」
えっ?でもよく雑誌やTVで「開いた骨盤をしめてスリムに!」とか特集されてるけど・・・・
と疑問に思いますよね。
それでは、解剖学的に「骨盤が開くということはない」という理由を解説していきます。
【骨盤が開く】とは?
解剖学的な意味の「骨盤の開き」
そもそも骨盤とはなんでしょうか?
骨盤は3つの骨からできています。
寛骨(腸骨+恥骨+坐骨)・仙骨・尾骨の3つです。
この3つの骨は仙腸関節という関節と、恥骨結合という関節でドッキングしています。
仙腸関節も恥骨結合も、ほぼずれたり動くことはありません。
仙腸関節はまわりが強力な靭帯でずれないようにガチガチに補強されていて、動いても数ミリ程度です。
恥骨結合は女性の場合は出産時にはゆるみますが、産後また元に戻ります。
つまり骨盤自体は3つの骨が合わさってできており、その骨が歪んだり変形するということはほとんどありません。
解剖学的に、骨盤の骨そのものがガバッと横に開くという現象は一般的には起こらないのです。
ちまたで言われる「骨盤の開き」の意味
骨盤はまわりの筋肉の働きで、複雑な運動をすることができます。
①前傾・・・骨盤が前に傾く。おへそを前に突き出すような動き。
②後傾・・・骨盤が後ろに傾く。おへそを引っ込める動き。
③挙上・・・骨盤を正面から見て、左右どちらか一方の腸骨稜が上がる動き。
④下制・・・骨盤を正面から見て、左右どちらか一方の腸骨稜が下がる動き。
⑤回旋・・・骨盤を上から見たときに左右どちらか一方の腸骨稜が前方に出る動き。
これらの動きが合わさって、骨盤は複雑な動きをします。
この中で主に、骨盤後傾の状態の姿勢を長く続けることで癖になってしまうと、下腹がぽっこり前に出て、蝶のような形の腸骨の角度の変化によって腰回りが厚みを持ってしまいます。
さらに股関節も前方かつ外側に移動するので、正面から見たとき横幅が広がって見えます。
これが「大転子がでっぱって太ももが太く見える」という現象です。
「骨盤が開いて下半身が太る」とは
- 骨盤後傾の姿勢の癖がつく
- 骨盤後傾によって腸骨(腰骨)の角度が変わって、腰回りの厚みがアップする
- 股関節が前方かつ外側に移動し、大転子が外側に出っぱって太ももが太く見える
【骨盤のゆがみ】とは?
では、結局は「骨盤の開き」を含め、「骨盤のゆがみ」とは?
そもそも「ゆがみ」とは、
①構造物の形そのものが歪んでいる場合
②構造物の形は変化していないのに、見る角度が変わることでゆがんでいるように見える場合
に2種類があります。
骨盤のゆがみは②の歪みなります。
(①は解剖学的なゆがみを指します。)
骨盤を構成する3つの骨の形そのものがゆがんだり変形することはないのに、あたかもゆがんでいるように見えるため、ゆがみと言われます。
これは、骨盤の周りの体幹(主に背骨)や脚(主に股関節)がゆがむことにより、骨盤の位置や角度が変わってしまうことによって起こります。
(背骨や股関節は大きく動くことのできる関節なので、ずれたり、ゆがみが起こります。)
この骨盤のゆがみは、筋肉のアンバランスを作ります。
筋肉が緊張しすぎて本来の力を発揮できなくなってしまったりします。
これは骨盤周囲だけにとどまらず、首や肩など全身の筋肉に影響します。
首こりや肩こりの原因が骨盤、というのはこのためです。
また、神経の通り道を圧迫して痛みを起こしたり、血液の流れを悪くしたりします。
テレビや雑誌でいう「骨盤のゆがみ」っていうのは、
この「形は変化していないのに、見る角度が変わることでゆがんでいるように見える、見かけ上のゆがみ」のことを言ってるんですね!
じゃあこの下半身太りの原因は・・・・?
見かけ上の骨盤のゆがみによって骨盤の位置や角度が変わるので、見た目にも腰回りの厚みや幅の広がりが生まれます。
そして骨盤の周りの筋肉が緊張しすぎてしまったりして、本来の動きや力が出せない状態になると、筋肉は本来の動きができなくなるので、活動量が減ったり代謝が落ちるのです。
そうなると、消費カロリーは減り、脂肪がつきやすくなるわけです。
また、骨盤の中に入っている内臓の位置も変わってしまうため、胃腸などの消化器も位置がずれて働きが悪くなってしまいます。
こうして内臓の働きが悪くなることで、代謝も落ちてしまいます。
ヒトの1日の代謝のうち、動いたりしなくても消費される分を基礎代謝といいます。
基礎代謝は1日の消費エネルギーのうちの約70%を占めます。
基礎代謝の内訳は、内臓38%、筋肉22%、脂肪4%、その他16%です。
内臓の働きをよくすると、効率よく代謝してくれることが分かりますね!
この悪循環によって「骨盤の見かけ上のゆがみ」からさらに腰回りや下半身太りが進行していきます。
下半身太り解消法
「骨盤の見かけ上のゆがみ」の原因となる①②の筋肉のストレッチが効果的です。
①背骨のゆがみ(おなか・腰付近の筋肉の緊張)をやわらげる。
②股関節のゆがみ(太ももの筋肉の緊張)をやわらげる。
おなか・腰の筋肉を整える
①よつんばいになる。両手と両ひざは肩はばの位置に置く。
②息を吸いながら背中を丸める。おへそをのぞき込むような感じで。
③息を吐きながら、上を向きつつ背中をそらす。
※腰に痛みやしびれが出る場合は中止してください。
太ももの筋肉を整える
1.前もものストレッチ
①あお向けになる。
②右足の膝を曲げる。
③左足の膝を立てる。
④立てた左足の膝を外側に倒して出来るだけ床に近づける。この状態で20秒キープ。
※逆側の足も同じようにおこなう。
※腰は出来るだけそらさないようにする。
※腰に痛みが出る場合は中止する。
2.後ろのもものストレッチ
①あお向けに寝る。
②右足のつま先あたりにタオルをひっかけて、手前に引きよせる。20秒キープ。
太ももや肩に力が入らないように、膝が曲がらないように注意。
まとめ
・骨盤は3つの骨が合わさってできており、特別な場合を除いては、解剖学的にこれらの骨そのものがずれたり開いたりするということはない。
・骨盤まわりの背骨や股関節のゆがみが原因で、骨盤の位置や角度が変わることによって「骨盤の見かけ上のゆがみ」が起こる。
・骨盤後傾の姿勢が長く続いて癖になったりすると、腰回りや太ももが横に広がり太って見える。
・「骨盤の見かけ上のゆがみ」によって、骨盤まわりの筋肉が正常に使えなくなったり、骨盤内の内臓の位置が変化したりすることで、代謝が落ちて脂肪がつきやすくなったりする。
・原因となる背骨や股関節だけでなく、全身のバランスを調整して骨盤の見かけ上のゆがみをなくすことが重要となる。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
骨盤にある関節は動きが数ミリ程度しかないため、通常では解剖学的には「開く」「ゆがむ」ということはほとんどありません。
しかし骨盤自体は骨盤まわりの筋肉の働きで動くため、
姿勢の癖などによって「骨盤の位置や角度」が変化します。
この「骨盤の位置や角度」によって「見かけ上のゆがみ」が起こるのです。
この「見かけ上のゆがみ」が世間一般で言う「骨盤のゆがみ」とか「骨盤が開く」ということを指します。
正確な骨盤の状態のチェックはやはり専門家に見てもらうのがベストですが、
自宅でできるセルフケアをまずはやってみてくださいね。
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